Simulation Simulation
中央空調システムの制御
既存中央空調システム制御方式の問題点

中央空調システムにおける温度調整は、冷房を例にとると、冷却水の流量を変化させて行う。しかし一般的なPID制御方式は、天候の急変などの条件変化(外乱)があるとうまく制御が働かない欠点がある。特に、冷却の開始から実際に室温が降下しだすまでにタイムラグが長い場合、強力に冷やしすぎて設定値を行き過ぎ、元に戻すために加熱動作に入ってしまう(オーバーシュート)。その結果、空調システムは加熱・冷却を繰り返し、無駄な電力を消費していた。一方で近年普及しているファジィ制御は、温度変化が想定されたパターンに合致しないと動作せず、効果が限定されていた。

中央空調システム用ADRC制御ユニット導入
中央空調システム用ADRC制御ユニット

ビルの中央空調システムは、オーバーシュートによる無駄な加熱・冷却の回数削減が課題である。そこで、従来の制御方式に代わって中央空調システム用ADRC制御ユニットを導入することにより高速・高精度な温度調節が可能になっただけでなく、無駄な加熱・冷却の回数が減少して大きな省エネ・電気料金の削減が実現できる。

期待される効果

ビルの空調設備関連エネルギーは建物全体の約半分を占めており,空調制御によって冷やしすぎや暖めすぎなどによる無駄なエネルギーを排除すれば,大幅な省エネ効果が期待できる。今回開発する自動外乱排除制御方式の中央空調制御システムを、従来のPID制御やファジィ制御などによる制御ユニット部分に代えて装備することにより、以下のような効果が期待できる。

(1) 電気料金の節減
  • オーバーシュート動作の無駄がない:
    外乱に自動対応可能な本制御方式を採用することでオーバーシュートなどの問題がなくなり、変化の事前予測をしにくい中央空調システムの制御が従来よりも容易になる。
  • 圧力損失の無駄がない:
    下記のようにバルブが常時全開となるので、バルブを閉めることによる圧力損失がなく、ポンプのエネルギーが無駄にならない。
(2) 保守費用の節減
  • バルブ保守:
    自動外乱排除制御方式では水ポンプの回転数のみを制御するため、バルブの開閉度を制御する必要がない。したがってバルブは全開のままでよく、基本的に保守の必要がない。新設の中央空調システムに自動外乱排除制御方式を採用する場合は、バルブの設置自体が不要になり保守費用が削減される。
  • ポンプ保守:
    自動外乱排除制御方式ではポンプの回転数を変化させるが、ポンプは従来の定格運転状態(フルパワー)でなくパワーダウン状態で運転されるため、負荷が軽減される。このため、ポンプ保守頻度も少なくなる。
(3) 節減効果の試算

PID制御方式の中央空調システムを使用している近隣の標準的なビル1棟より消費電力のデータをいただき、自動外乱排除制御方式に変更した場合の節約額を試算した。

ビル概要: 東京都板橋区の延べ床面積約3,000m2、一般的な事務所ビル
運転時間: 年間300日(日祝日休み)、一日あたり15時間(7時~22時)
設定温度: 夏季27度、冬季20度
気象条件: 一日の天候や気温の推移は、2007年の東京・練馬のアメダスデータを使用した。

計算の結果、空調消費電力の約40%を占めるポンプの負荷が平均20~30%低下し、空調システムの消費電力が約10%節約できることがわかった。金額に直すと年額100万円前後である。

メリット
中央空調システムのユーザー様にとって

ビルの電気料金の半分以上を占める空調の電気消費を大きく削減することができ、ビルの運営コストの削減が可能になる。

メンテナンス会社様にとって

空調装置のバルブやポンプのメンテナンス頻度が下がるため、メンテナンスコストの削減が可能になる。

当社にとって

当社が特許権を有する自動外乱排除制御技術を、市場規模が大きいビルの中央空調システムに使用範囲を広げることにより、本制御方式の応用範囲が大きく広がる。特許権が消滅するまで他社はこの技術を使用できないため、当社は長期間にわたって高い収益を維持することができる。